仕事に追われ更新が滞っていましたが、今回から何度かにわたってバランスについてご紹介してまいります。


工房で、お客様との面談中に(時々ですが)、次のような質問を頂くことががあります。

お客様:「バランスってどういうものですか?」 

tuka:「クラブを振った時に感じる重さを表す指標でして・・・・D0やD2などと表記され・・・・・・

といったような感じの一般的な内容で答えていました。しかし、よく考えてみればバランスの概念をご存知ないお客様にとって、とても不親切な答えだったのでは?と、後になって反省した事があります。

もっと詳しく説明すべきなのですが、その為には略図などを用意する必要がありますし、短時間に簡潔に説明するための準備もしてないので、ついこのような説明になってしまいます。Web上であれば時間の制約はありませんので、じっくりご紹介できます。


スイングバランスとバランスポイント
 バランス ・ スイングバランス ・ スイングウェイトなどと、いろいろな呼び方をされていますが、これらはすべて同じ意味の用語として使われます。クラブのスペックの中でも、多くのお客様が重要視している項目の一つです。(以下、スイングバランスで統一します)

 スイングバランスはクラブを振った時に【感じる重さ】を表す指標として考え出されました。このスイングバランスを表す記号は A0 から始まり、続いて A2,A3,A4 と数字の部分が1つ増えるに従って1ポイントずつ重くなります。A10 になると桁を上げる意味でアルファベットが B になり、A10 = B0 と桁上がりします。同様に B10 は C0 そして、C10 は D0 になります。

 一般的な男性用クラブはC8からD3程度のスイングバランスで作られています。女性用は B7程度からC7程度の範囲になっています。
 各アルファベットと 0 〜 9までの数字で表現出来るので、そのまま順番どおりに増やせば Z10 までありそうですが、実用的なクラブとしてスイングできるのは、E〜Fバランスくらいが限界のようです。たいていの計測器の目盛りも、E または F 辺りまでになっています。

 例外として長尺パターなどでは G とか H になるものもありますが、パターをフルスイングすることは、あまりないと思いますので、ここでは例外とさせていただき言及しません。

 ・・・と、ここまでは、工房を訪れるお客様には説明の必要がない程、ポピュラーな内容だったと思います。
次にスイングバランスが具体的にどういう重さなのか? ということをご紹介してまいります。


ここに2本のクラブ A,B があるとします。
Aは 長さ 45インチ、総重量は310g 
Bも 長さ 45インチ 総重量は310g です。

長さと重さは同じなのですが、スイングすると明らかに B の方が重いと感じるとしたら・・・。
この、2本のクラブは次のような状態であることになります。


バランスポイントというのは、シャフト上でクラブが吊り合う位置(水平になる)のことです。長さと重量が同じクラブであれば、この位置が手元から遠いほどスイング時に重く感じるクラブになります。

それならば、C2 とか D5 とかではなく、この距離だけで表せば良さそうなものですが、長さや重さが違うクラブの場合は、バランスポイントの位置だけでは、つじつまが合わなくなってきます。

このような場合です。

Cは 長さ 46インチ、総重量は305g バランスポイント 34インチ
Dは 長さ 41インチ 総重量は330g バランスポイント 32.5インチ

長さとバランスポイントはCの方が長く、重量はDが重くなっています。バランスポイントだけで考えればCのほうが重く感じることになりますが、重量の分を考えると、うむむ・・・となってしまいます。
このような場合、先程のバランスポイントまでの 距離 だけでは判断ができないことが解ります。

長さ、重さ、バランスポイントが違うクラブであっても、振った時に感じる重さのフィーリングが、統一的に表せれば便利です。また、これらのクラブ間の 感じる重さ を揃える事ができれば、番手を変えても違和感が少なくなりそうです。ここで バランス理論 に登場してもらいましょう。


バランス理論は上記のバランスポイントの位置の変化を応用したものです。ただし、変化させるのはバランスポイントの位置ではなく、バランスを取る為のおもりの量の変化を利用しています。

具体的にはこのようなものです。

グリップエンドから14インチの位置に支点を置き、この時にヘッド側との吊り合いを取るのに必要なおもりの量を段階的にしたのがバランス理論の原理です。

 D0 から D9 までのおもりの量は次のようになります。

おもりの重さ(オンス) おもりの重さ(g)
D0 15.25 432.34
D1 15.375 435.88
D2 15.5 439.43
D3 15.625 442.97
D4 15.75 446.51
D5 15.875 450.06
D6 16 453.60
D7 16.125 457.14
D8 16.25 460.69
D9 16.375 464.23

おもりの重さの変化は1ポイントで0.125オンス(約3.543g)ずつ変化しています。
D0 の場合、15.25オンス(432.34g) のおもりで吊り合う事になります。

実際のバランス理論では、支点からグリップエンドまでの長さである14インチと、おもりの重量を掛け算した インチオンス という数字が使われます。上記の表の重さに14 を掛けると求められます。

D0 では 14(インチ) X 15.25(オンス) = 213.5 インチオンス になります。


A0からE9までのインチオンスとおもりの重量の変化は次のようになります。
1ポイントの変化は 1.75 インチオンス です。
おもりの重量変化は 0.125 オンス (14倍すれば1.75インチオンス)
オンスを g(グラム) インチオンス を cm*g(センチメートル*グラム)にも換算してみました。  

インチオンス Weght(oz) Weight(g) cm*g
A0 161 11.5 326.03 11593.45
A1 162.75 11.625 329.57 11719.46
A2 164.5 11.75 333.11 11845.48
A3 166.25 11.875 336.66 11971.50
A4 168 12 340.20 12097.51
A5 169.75 12.125 343.74 12223.53
A6 171.5 12.25 347.29 12349.54
A7 173.25 12.375 350.83 12475.56
A8 175 12.5 354.38 12601.58
A9 176.75 12.625 357.92 12727.59
B0 178.5 12.75 361.46 12853.61
B1 180.25 12.875 365.01 12979.62
B2 182 13 368.55 13105.64
B3 183.75 13.125 372.09 13231.65
B4 185.5 13.25 375.64 13357.67
B5 187.25 13.375 379.18 13483.69
B6 189 13.5 382.73 13609.70
B7 190.75 13.625 386.27 13735.72
B8 192.5 13.75 389.81 13861.73
B9 194.25 13.875 393.36 13987.75
C0 196 14 396.90 14113.76
C1 197.75 14.125 400.44 14239.78
C2 199.5 14.25 403.99 14365.80
C3 201.25 14.375 407.53 14491.81
C4 203 14.5 411.08 14617.83
C5 204.75 14.625 414.62 14743.84
C6 206.5 14.75 418.16 14869.86
C7 208.25 14.875 421.71 14995.87
C8 210 15 425.25 15121.89
C9 211.75 15.125 428.79 15247.91
D0 213.5 15.25 432.34 15373.92
D1 215.25 15.375 435.88 15499.94
D2 217 15.5 439.43 15625.95
D3 218.75 15.625 442.97 15751.97
D4 220.5 15.75 446.51 15877.98
D5 222.25 15.875 450.06 16004.00
D6 224 16 453.60 16130.02
D7 225.75 16.125 457.14 16256.03
D8 227.5 16.25 460.69 16382.05
D9 229.25 16.375 464.23 16508.06
E0 231 16.5 467.78 16634.08
E1 232.75 16.625 471.32 16760.09
E2 234.5 16.75 474.86 16886.11
E3 236.25 16.875 478.41 17012.13
E4 238 17 481.95 17138.14
E5 239.75 17.125 485.49 17264.16
E6 241.5 17.25 489.04 17390.17
E7 243.25 17.375 492.58 17516.19
E8 245 17.5 496.13 17642.21
E9 246.75 17.625 499.67 17768.22


この表を使うとバランス計算が簡単にできます。お手元のクラブで実際に計算してみると面白いです。計算方法は次の通りです。

クラブ重量(オンス) X (バランスポイントまでの長さ(インチ)−14) = インチオンス

インチとオンスの換算は 1オンス=28.35g 1インチ=2.54cm で良いかと思います。

換算が面倒な場合は、表の一番右のcm*g の欄を使って
クラブ重量(g) X (バランスポイントまでの長さ(cm)−35.56)= センチメートル*グラム
で行えます。

先程の2本のクラブ C D を計算してみます。
Cは長さ 46インチ、総重量は305g バランスポイント 34インチ (86.36cm)
Dは長さ 41インチ 総重量は330g バランスポイント 32.5インチ (82.55cm) でした。

C: 305 X (86.36−35.56)=15494 cm*g   約 D0.99
D: 330 X (82.55−35.56)=15506.7 cm*g 約 D1.05
わずかですが、D のほうが重くなりました。

この表を使って簡易バランス計が作れますので、次回は製作方法をご紹介したいと思います。
題して 【200円で作るバランス計】 です (*^_^*)

2008/7/15