前回のグリップとButt径の話に続きまして、シャフトの先端とヘッドのホーゼル部の関係を紹介します。この部分もクラブを組み立てる上で非常に重要な部分になります。

2.ヘッド(ホーゼル径)とシャフト先端径(TIP径)


ヘッドとシャフトの接合部をホーゼルといいます。シャフトが差し込めるようにパイプ状になっています。このパイプ状のホーゼルの内径部分はホーゼルボア(穴)と呼ばれています。
シャフトの先端をこの穴に差込み、接着することでヘッドとシャフトが外れないよう固定されます。シャフトの先端部の太さは TIP径 という名称で呼ばれ、シャフトカタログには必ず記載されています。

このホーゼルボアとTIP径の関係も、グリップとシャフトの関係と同様にいろいろなサイズが存在しています。リシャフトやヘッド交換の際には、双方をマッチングさせる必要がありますので大変重要なスペックになります。この部分のサイズを合わせないと、取り付けが出来なかったり、ヘッドが外れる原因になります。

これまでに販売されてきたシャフトのTIP径を参考文献の中から紹介します。表の1がその主なサイズです。
全部で11のサイズがあります。また、先端の形状の違いから、合計で13の種類に分類されています。



TIP径 先端形状 使用用途
パラレル テーパー フレアー
0.277

Wood
0.286

Wood
0.294

Wood
0.300
Wood & Iron
0.320
Wood & Iron & Putter
0.335

Wood & Uty
0.350

Wood & Uty
0.355

Iron & Putter
0.370

Iron & Putter
0.382

Putter
0.395

Iron & Putter

【The Modern Guide to Golf Clubmaking 】より引用

・青文字は現在流通している主なサイズです。
・他のサイズは現在は流通していませんが、中古クラブやビンテージクラブで見かける事があります。
・このサイズ以外にも特注サイズのシャフトが存在しますが、例外扱いとして掲載されていません。(Orlimar Tri Metal Ultraline Graphaite 0.365" など)
(注)用途欄の一部は参考文献の表と異なります。(赤字部)


驚くほど多くのサイズが存在します。(しました)
なぜ、これほど多くのサイズが存在したのか・・・、その理由は、これらのサイズが発売されていた時代、シャフトの材質がスチールだった事と関係があるようです。

シャフトのフレックス(硬度)とシャフトの径(特に先端部)は密接な関係があります。細いほど硬度が低くなり、柔軟性が増します。また、細いシャフトの方が全体の重量を軽く作ることができます。

スチール全盛時代にはジュニアや女性、シニアゴルファーも重いスチールシャフトを使わざるを得ませんでした。軟らかさと重量軽減の目的から必然的に生まれたそうです。

尚、太さと硬度の関係は、カーボン繊維が使われるようになった現在では、一概に 「細い=軟らかい」 「細い=軽い」 という関係はあてはまりません。

現在の主流になっている(販売されている)シャフトは青字の5種類になります。

ウッドでは 0.335(8.5mm) と 0.350(8.9mm)の2種類
アイアン&パター は 0.355(9.0mm) と 0.370(9.4mm)の2種類
オーバーホーゼルのパター用として 0.382(9.7mm)

最近の状況

ここ数年、メーカー製ウッドクラブでは、使われるTIP径の事情が大きく様変わりしています。これまでの主流であった 0.335 のTIPから 0.350 が大勢を占めるようになりました。その理由は次のように考えられています。

・ヘッドの大型化により、トルク特性(ねじれ)に対して、より強度が求められるようになった。
・0.335 TIPと比較して、低コストで強度を出しやすい。また、強度面での有利性から軽量化しやすい。

などです。
大径化しているメーカー装着のシャフトに対して、工房用のシャフトは以前からの 0.335TIP が主流です。その理由は次のように考えられています。

・0.350TIPと比較して、シャフト設計の為のバックデータが豊富であり、柔軟な設計が可能である。
・先端部の太さは打感に大きく影響する。プロや上級者は0.335のシャフトの打感を好む傾向がある。
・シャフトの種類が多く、プロや上級者のニーズにあったシャフトを選びやすい。

などと考えられています。また、工房用シャフトは量産品と違い、コスト面よりも品質を求められる傾向があるため、たとえ高コストであっても販売上のデメリットには、なり難いという面もあるようです。

今後、0.350シャフトの普及が進み、技術改善が図られれば工房用のシャフトもこの流れになるかもしれません。


TIP径の注意点

リシャフトやヘッド交換をする場合の注意点を紹介します。

Wood
 現在は前述の通り、2種類の太さがあります。太いホーゼル(0.350)に細いTIP径(0.335)のシャフトを取り付けることは可能ですが、その逆は出来ません。
稀に0.350TIPのシャフトを削って細くしたものを、無理やり取り付けている例を見ますが、絶対に行ってはならない作業の一つです。どうしても取り付けたい場合は、ホーゼル側を切削して取り付ける必要があります。しかし、ホーゼル部の強度との関係がありますので、十分注意する必要があります。

Iron
 ・アイアンもウッドと同様の事が言えますが、ウッドと比較してホーゼル部の肉厚が厚いので、ホーゼルの内径を拡大(ボアアップ)しても、強度への影響が少ないと考えられています。また、材質もウッドのホーゼルと比較すると、軟らかく加工しやすいこともあり、サイズ違いのシャフトであっても取り付けは可能です。
 ・カーボンシャフト付きのクラブは0.370TIPと考えられがちですが、テーパータイプである0.355TIPのシャフトも存在しますので、交換の前には確認したほうがよいです。

Petter
 パタートもアイアンと同様、加工のしやすさから双方向のシャフト交換が可能です。注意点は接合部をカバー可能なフェルール(ソケット)が付いていないモデルが多いので、太いホーゼルに細いシャフトを付けた場合、隙間ができて恰好が悪くなります。

UTY
 ユーティリティヘッドの場合は注意が必要です。俗にいうアイアンタイプとウッドタイプのヘッドがあり、ホーゼル径の種類が3〜4種類ある為です。交換にあたってはシャフトのTIP径を実測してから、希望のシャフトを選択するようにしてください。

2008-5-19